発達障害とは?特徴、具体的な接し方を紹介

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「発達障害の特徴は?」
「発達障害に早く気づくためのポイントとは?」
「発達障害の方への接し方やお子さんに対するサポートについて知りたい」

発達障害(神経発達症)が知られるようになってきたのは、ごく最近のことです。発達障害のお子さんとの関わり方や、具体的な支援について悩んでいる方は、まだまだ多くいらっしゃいます。

そこで本記事では、発達障害について知っておきたいことを、敷衍的に解説していきます。
放課後デイサービスに興味のある方、申し込みを検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

目次

発達障害とは

まずはじめに、「発達障害」は、WHOによる疾病国際分類の新定義(2022年1月発行)により「神経発達症」という名称が公式に使われるようになってきています。本記事では、旧名称の「発達障害」として解説していきます。

発達障害とは、脳の器質的損傷・変形による先天性の障害です。個人の発達の特定領域で、異常な発達パターンを示します。
その特性は、発達障害の下位障害や個人によっても大きく異なり、たとえば「注意力」や「社会的な相互作用」「言語の発達」「認知機能」などが挙げられます。
主な発達障害としては、ASD(自閉症スペクトラム症)、ADHD(注意欠陥多動性障害(ADHD)、学習障害(LD)などが有名です。
発達障害は、個人が日常生活や社会的な環境で困難を抱えることがありますが、適切な支援や早期介入によって、生活を改善できる場合もあります。

発達障害の特性は、定型発達(発達障害ではない)の人にも少なからず見られるものです。
しかし、発達障害はれっきとした福祉の対象です。
では、その線引きはどこにあるのでしょうか。臨床の場では、以下の3つが重要視されています。

  • 先天性:幼少期から特性が認められること
  • 恒久性:いついかなる場面でも特性が認められること
  • 困り感:生活に支障をきたしていること

診断の際は、問診と心理検査によって、以上3点と特性を確認して行われています。

関連記事:発達障害検査とは?主な種類や検査でわかること

発達障害の特徴

ここからは、発達障害の特徴を6つに分けて解説していきます。

  • 広汎性発達障害
  • アスペルガー症候群
  • 注意欠陥多動性障害(AD/HD)
  • 学習障害(LD)
  • トゥレット症候群
  • 吃音(症)

広汎性発達障害

「広汎性発達障害」は、現在では「自閉症スペクトラム症(ASD)」と呼ばれています(米国精神医学会が発行する診断マニュアル「DSM-5」参照)。
以前の診断マニュアルである「DSM-Ⅳ」によると、広汎性発達障害には次の3つの特性があります。

  • 社会的相互作用の障害:他者と目を合わせられない。対人関係の形成・維持の困
    難さ。情緒的相互性の欠如。

「相手の気持ちがわからない」「空気が読めない」など。

  • コミュニケーションの障害:話し言葉の遅れ。会話を開始し継続することの困難さ。言葉を覚えるのが困難で、覚えても会話がかみ合わない。

「言葉を字義通りにしか解釈できない」「場面や相手との間柄を無視して難しい言葉や固い言葉遣いで話してしまう」など。

  • 想像力の障害:限局された興味対象への過度な集中。習慣へのこだわり。常同行動(同じ遊びや行動を続けること)。

「ドラマのワンシーンのみを1日中繰り返し観つづける」「身支度の順番を変えると何もわからなくなり支度できなくなる」など。

そして、後述の「アスペルガー症候群」や「高機能自閉症」を含めて、DSM-5より整理された「自閉症スペクトラム症(ASD)」の特性が以下の2つです。

  • 社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥:以前の「社会的相互作用の障害」「コミュニケーションの障害」に該当。
  • 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式:以前の「想像力の障害」に該当。

アスペルガー症候群

「アスペルガー症候群」も、現在は使用されていない名称です。2013年(日本では2014年)からは、DSM-5によって「自閉症スペクトラム症(ASD)」として整理・統合されています。
以前は「広汎性発達障害」の一種として分類されていましたが、同じく広汎性発達障害であった「高機能自閉症」とは、言語機能の遅れのみが差とされていました。
なお、似た名称の「自閉症」は、知的障害の有無が相違点です。

  • アスペルガー症候群:コミュニケーションの障害が少なく、知的能力や言語能力に困難を示さない。
  • 高機能自閉症:乳幼児に言語の遅れが見られるものの徐々に追いつき、幼少期以降はアスペルガー症候群とまったく変わらない。
  • 自閉症:「社会的相互作用の障害・コミュニケーションの障害・想像力の障害」が3歳頃までに認められ、知的能力に困難を示している。

注意欠陥多動性障害(AD/HD)

注意欠陥多動性障害(AD/HD)は、以下の特性が求められる発達障害の一種です。

  • 不注意:過度な忘れ物、ケアレスミスの多さ、など。
  • 多動性・衝動性:じっとしていられない、列の順番を守れない、など。

これらは多くの人が少なからず持つ特性ですが、先述した「先天性・恒久性・困り感」に加えて「同年齢の人と比較して顕著であること」が診断の重要なポイントです。
ちなみに、自閉症スペクトラム症(ASD)と注意欠陥多動性障害(AD/HD)は、8〜9割の確率で併発します。

学習障害(LD)

「学習障害(LD)」は、現在では「限局性学習障害(SLD)」が正式名称です。
DSM-5によると、学習障害の特性は以下の通りです。

  • 全般的な知的能力に遅れはなく平均的なIQを示すものの「読む・聞く・話す・書く・計算する」など、ある特定の学習能力に著しい困難を示す(「読めるが書けない」「書けるが話せない」「論理的思考力は高いが四則演算はできない」など)。

発達障害(神経発達症)の分類は学者によって意見が割れると先述しましたが、ここまで解説した「自閉症スペクトラム症(ASD)」「注意欠陥多動性障害(AD/HD)」「限局性学習障害(SLD)」の3つは、誰もがそれと分類しています。

トゥレット症候群

「トゥレット症候群」は「チック症」とも呼ばれています。学者や医師によっては、発達障害(神経発達症)としないこともあります。
また、トゥレット症候群とチック症を以下のように分類する見解も存在します。

  • チック症:後述の症状が認められる病態
  • トゥレット症候群:チック症が1年以上にわたって持続し、困り感が認められる障害

トゥレット症候群の症状としては、次の2種類が挙げられます。

  • 音声チック:意図しない咳払いや奇声、笑い声が出てしまう
  • 運動チック:意図せずまばたきが出たり、顔を顰めたりしてしまう

吃音(症)

吃音は、話し言葉を発する際にうまく言葉が出せず、流暢に話せない状態を言います。
その特性は、以下の3つが一般的です。

  • 第一音や途中の音が詰まる
  • 同じ音を何度も繰り返す
  • 音を引き伸ばす

吃音症は、これら吃音が長期的に見られる障害です。

発達障害に早く気づくためのポイント

発達障害を早期発見するポイントは、同年齢のお子さんと比べた際の社会性の異質さや、コミュニケーションの困難さです。注意力散漫であったり、繰り返し行動や、感情の制御が困難なことも兆候として挙げられます。
発達障害は早期発見・早期介入が重要です。専門家の評価を受けて、適切なサポートを提供しましょう。注意深く観察して、支援を早めることで、適応学習も比較的容易になります。

関連記事:児童発達支援とは?サービスや費用、申請の流れを解説

発達障害に気づいたときの行動

ここからは、発達障害に気づいたときに取るべき行動を解説します。
まずは、発達障害の正しい知識と理解が重要です。参考になる書籍を読んでみたり、インターネットで情報収集してみたりして、発達障害の人の「できることとできないこと」、「できるが本人にとっては困難なこと」などを把握しましょう。
しかし、自分自身で調べるだけでは限界があるため、場合によっては専門家を頼ることも視野に入れましょう。発達障害には、ご家族と専門家による複合的な支援がベストです。
ここでは、以下の2つの施設を紹介します。

  • 発達障害情報・支援センター
  • 発達障害教育推進センター

発達障害情報・支援センター

発達障害情報・支援センターは、最新かつ信頼できる発達障害に関する情報を集めて、分析し、広く普及啓発活動を行うために厚生労働省国立障害者リハビリテーションセンター内に設置された情報機関です。
主な対象は、発達障害者やそのご家族、全国の支援機関、そして一般の国民です。
支援センターは、正確な情報の提供や支援策の提案を通じて、発達障害者の社会的な理解と支援の向上に貢献しています。

発達障害教育推進センター

発達障害教育推進センターは、発達障害のあるお子さんの教育を推進・充実させるために、教員や保護者の方など関係者への支援を行う機関です。
さらに、広く国民に対しても理解を促すため、Webサイトなどを通じた情報提供や理解啓発、調査研究活動を行っています。
センターの目的は、発達障害への理解を深めお子さんたちの教育環境を改善することにあり、活動は発達障害情報・支援センターと連携しています。

発達障害の方への接し方

ここからは、発達障害の方への接し方を5つに分けて解説していきます。

  • できたことを褒める、できないことを叱らない
  • 説明するときは視覚的な情報を提示する
  • 具体的に短い文章で説明する
  • 安心できる環境を作る
  • 温かく見守る

それぞれ確認してください。

できたことを褒める、できないことを叱らない

発達障害の方の苦手な部分を否定するのではなく、積極的に彼らの強みを認めて評価することで、自己肯定感や、モチベーションを向上させられます。
また、失敗や苦手なことに対しても、ただ叱責するのではなく、支援や助言を通じて成長をサポートしましょう。

説明するときは視覚的な情報を提示する

発達障害の方は、視覚的な情報を受け取ることが得意な場合がよくあります。そのため、物事を説明する場合は口頭だけではなく、写真や図表、手書きのメモなどを用いて説明することで、より理解しやすくなります。

具体的に短い文章で説明する

なるべく短い文章で、具体的に説明するという方法も効果的です。
発達障害の方は、抽象的な指示や、個人で解釈が分かれうる表現の理解に苦労することがあります。そのため、簡潔かつ具体的な言葉で説明をすることで、理解を助けられるでしょう。

安心できる環境を作る

発達障害の方への接し方において、安心できる環境を作ることもまた非常に重要です。
刺激過多や予測困難な状況になると、人並み以上に不安を感じることがあります。そのため、静かで予測しやすい環境を整えて、ルーティンや予定の変更を最小限に抑えることが必要です。
また、個別のニーズに合わせたサポートや、ストレス軽減の手法を用意することも効果的でしょう。

温かく見守る

発達障害の方を温かく見守ることは、理解と受容を示す大切な接し方です。
それぞれの個性や興味に対して尊重を示して、サポートや励ましの言葉をかけることで、自己肯定感と信頼関係を築くことができます。
特性を自分らしさとしてプラスにつなげていくためには、温かいサポートが不可欠です。

発達障害のお子さんに対するサポート

次に、発達障害のお子さんに対するサポートについて見ていきましょう。
ここでは、発達障害として比較的知られている3つの障害に分けて解説していきます。

  • 広汎性発達障害
  • 注意欠陥多動性障害(AD/HD)
  • 学習障害(LD)

それぞれ確認してください。

広汎性発達障害

広汎性発達障害、もとい自閉症スペクトラム症の援助は、以下が定石とされています。

  • 療育:当事者にとって暮らしやすい環境をつくり、適応力を育てることで困難を軽減していく。
  • TEACCH(Treatment and Education of Autistic and related Communication
    handicapped CHildren):自閉症児全般を支援するための個別教育プログラム。言語ではなく絵で見せて視覚で理解させるなど、特定に即した対応が特徴。
  • 二次的障害への心理療法:行動特徴から周囲の偏見やいじめにあいやすく、そこから起こる不安症・うつ病・睡眠障害などの二次的問題への心理療法。
  • ご家族への心理教育:お子さんに対するサポートではないが、これも多く行われる援助のひとつ。保護者の方は自身の養育を責めることが多いため、自閉症は冷淡な親の不適切な養育で起こるわけではないことを正しく伝え、療育の重要性を認識してもらう。
  • 特別支援教育:学習・生活上の困難を克服し自立を図るために、一人ひとりの状況にあわせて行われる教育のこと。

注意欠陥多動性障害(AD/HD)

注意欠陥多動性障害(AD/HD)には、薬物療法による援助が一般的です。
多動や衝動性を抑えるためのものですが、副作用も多いため、並行して行動療法を用い、適応行動を学習させていきます。
一般的に「できて当然」と思われる行為に困難を示すため、日常的に失敗体験が多く、劣等感を抱きやすい特徴があります。
学校での集団生活になじめず、時としていじめにあってしまうことも多々あります。
また、保護者の方や教師などの周囲の人々に正しく把握されていないと、その行動特徴が甘えやわがまま、努力不足のように受け取られてしまいがちなため、専門家による親への心理教育や教師へのコンサルテーションによって、注意欠陥多動性障害(AD/HD)に関する十分な理解を得る必要があります。
特別支援教室なども最大限に活用し、お子さんの生活が多方面から支援され、過ごしやすい環境を整えていくことができれば、症状やそれに伴う劣等感を和らげ、適応を促すことができるでしょう。

学習障害(LD)

学習障害(LD)へのサポートは、薬物治療以外は基本的に注意欠陥多動性障害(AD/HD)と同じです。
日常的な失敗体験から生じる劣等感、集団生活になじめないことから生じる孤独感、甘えやわがままや努力不足との誤解を避けるため、専門家による親への心理教育や教師へのコンサルテーションが重要です。
特別支援教室なども積極的に活用しましょう。

発達障害への治療法や支援制度

ここからは、発達障害への治療法や支援制度を解説していきます。
基本的には、必要に応じて以下の2つを複合的に実施します。

  • 薬物療法
  • 療育(発達支援)

それぞれご参考ください。

薬物療法

発達障害に対して薬物治療が行われることがありますが、効果や適応範囲には個人差があります。
もっとも一般的な薬物は、注意力や衝動性の管理に効果がある薬です。
ただし、副作用や依存性のリスクもあるため、医師との十分な相談と検討が必要です。
薬物治療は、あくまで個別の症状やニーズに合わせた総合的なアプローチの一部でしかありません。

療育(発達支援)

発達障害への療育は、個人の発達ニーズに合わせた支援プログラムです。
言語や社会的なスキル、注意力などの発達領域を重視し、臨床の専門家や教育者が関与します。
個別の目標設定や評価を通じて、認知・社会的な困難に対処し、自己肯定感や生活の質を向上させることを目指します。
ご家族や学校との協力も重要であり、継続的なサポートが大切です。

発達障害の特徴は障害によって細かく異なる

今回は、発達障害の特徴について解説してきました。

発達障害は、その種類ごとに、そして個人ごとに異なる特徴を持っています。

自閉症スペクトラム症(ASD)では、社交的な困難や独特な興味・行動が見られる一方、注意欠陥多動性障害(AD/HD)では、注意力の欠如や衝動性が見られます。

限局性学習障害(SLD)では、読み書きや計算など特定の学習に困難が生じるでしょう。
このように、発達障害は個別の特徴に基づいて診断され、個別のサポートが必要とされます。

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